【ideapad 530s レビュー(真)】

ここ数年の家電製品のトレンドは異常だ。何にでも前面にアルミの塊から削り出されたようなつや消しの金属板が貼られている。事の発端は恐らくApple社にある。

スティーブ・ジョブズが財を成す前の世界では、お洒落というものは非常に分かりやすかった。しかし、現代の社会ではどうだろうか。世界の総人口よりも多い種類のラテが頼めるスターバックスで、アルミ板の上に配置されたキーボードを叩くことがお洒落であると勘違いしている若者が多いようだ。しかしながら、そのような若者にはApple社の製品は少し高すぎるので、まともな服を買うことができず、お洒落を気取りたいにもかかわらず老人のようなセーターを着ている。

そして、まともなシャツを買うことができない若者にも救いの手は存在する。それが今回紹介するLenovo ideapad 530sだ。

このパソコンが家に届き、パソコンが入った段ボール箱を開いた瞬間、口を開けて驚いてしまった。
「なんて美しいんだ」
パソコンの背面には余計な装飾が全くなく、もっとも宣伝したいであろうブランドロゴも端の方に小さく、「lenovo」と書かれているだけだ。私はこれを大変気に入った。

無駄なものがついていないスタイリッシュさを売りにしているMacBookにもこれ見よがしなリンゴのマークがある。これを後進国で見せびらかすように使うことは、ランボルギーニで爆音を撒き散らしながらメインストリートの庶民を威嚇することに等しい。下品だ。レノボにはそのような下品さがない。これ見よがしなルイ・ヴィトンのバッグではなく、バブアーのディナージャケットだ。

全体が直線的なデザインなのも素晴らしい。基本的に直線は曲線よりも優れている。2点が最短で結ばれるのは曲線ではなく直線だ。曲線的なマクラーレンよりも直線を多用してあるランボルギーニの方がドラマチックだし、キーラナイトレイは直線的だからこそ美しい。なめらかな曲線を多用した某社よりも角張ったスタイルが非常にドラマチックだ。これなら街中に持っていき自慢したくなる。

ボタンの質感も素晴らしい。電源ボタンの押し心地からは、向こう1000年くらいはボタンが壊れなさそうな感じがする。キーボードのスプリングも強く、クイックなタッチでもキチンと跳ね返る。

タッチパッドの快適さも特筆すべきであった。この世でもっとも優れたタッチパッドは、Apple社のMacBookシリーズに搭載されているのだが、私の知る限りではideapadに搭載されているタッチパッドは世界で2番目に優れている。アルミ板の上にベビーパウダーをまぶしたような肌触りで、タッチパッドの面積が広めに設計されているのでスクロールもしやすい。私はトラックポイントシステムはサタンが作り出したシステムであると考えているので、タッチパッドの快適さは非常に重要だ。

ファンクションキーの使い方には慣れが必要だ。どうしても馴染めないなら常時ファンクション機能をオフにすることができるが、その場合は世界でもっとも無くしやすい物体の1つであるsimピンを本体横の穴に突き刺して設定画面を呼び起こすしかない。SSDで素早く起動できたとしても、simピンを探すことに半日は費やす羽目になるため、結果として時間を失うことになる。

欠点はまだある。いずれは世界の全てのノートパソコンが採用すべき電源供給方式はUSBタイプと明白なのだが、レノボのideapadシリーズは頑なに専用設計の端子を使い続けている。おかげで、ACアダプターはラテンアメリカ大陸よりも大きく作られているし、ケーブルの入手が非常に難しくなる。USB-Typeナントカなら、ネパールの市場でも買うことができるがレノボの電源アダプタは製造から配達まで待たなければならないので、その間に老衰で死んでしまう。

しかしながら、ベンチマークでi7シリーズを上回る性能を叩き出すCPU、8 GBのメモリ、その他豪華装備が付いて62,225円だ。浮いたお金を使って、MacBookが溢れているスターバックスではなくラウンジに入り浸ることもできる。この選択をしないものが何処にいるのだろうか。

安くていいパソコンなら世の中にいくらでもある。しかしながら、安くて、中身がまともで、見た目もいいパソコンを作るメーカーは1つしかない。そう、それはレノボだ。これはパソコン界のアンソニー・ジョシュアだ。見た目が逞しく、戦う時以外は謙虚で、それでいて頭もいい。

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