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【オーストラリアハーフラウンド 12日目 オーストラリアの物価はそれほど高いわけではない】

ミーハーな日本人観光客であふれた街、ゴールドコースト。残念なことに、おそらくわたしにはこの街は合わないであろうことは行く前から分かっていた。モテそうなマリンスポーツよりも、泥臭くて多くの人から忌避されそうな自転車の方が好きだ。見た目が綺麗で高貴なイメージのあるルノー・メガーヌではなく、ブルーカラーの泥臭いイメージが残るフォード・フォーカスの方が似合っているような男だ。しかしながら、せっかく南半球まで足を伸ばしてゴールドコーストを観光しないのは勿体なさがどうしても頭の中から消えないので、観光することに決めた。これは、ここ最近でいうとイギリスがEUから離脱することを決めたことの次に勇気のいる決断だ。なぜならわたしは似合わない男なのだから。
日帰りの往復バスにはグレイハウンドを利用した。一定期間乗り放題のwhimitパスを持っていたので、方向や距離、回数に関係なく、運行さえしていればグレイハウンドバスをいくらでも利用できる。札幌の地下鉄並みに便利だ。

ゴールドコーストは世界的に名の知れたサーファーの楽園であり、バス停の名前もサーファーズパラダイス・ゴールドコーストだった。新宿の名前も労働者天国・新宿駅にしたら良い。ブリスベンからは1時間と少しほどで到着した。オーストラリアにらこの手の白い砂浜がたくさんあるのだが、他の砂浜と違うところといえばぼったくりホテルの量と浜辺に並んでいるバストの数くらいだろう。あとは他のビーチとさして変わらない。

ハードロックカフェもある
ゴールドコーストのことを大したことがない観光地だと言う記事はなかなか見ないが、山派のオタクの意見としては退屈な場所だ。私は全く泳げないし、服や靴が水に濡れることの何が楽しいのか理解できないので、浜辺で読書でもしているしか楽しみがない。これは晴れた日の大通り公園でもできることだ。ただ、そよ風にあたりながらのんびりと水平線を眺めていると、どこかぼんやり暖かい気持ちになる。観光客で混雑さえしていなければ最高のリフレッシュ場所だ。

それでも、精一杯楽しさを演出しようと笑顔で写真を撮ってきた。これをインスタグラムに投稿しておけば、私が真夏の砂浜を楽しめないサイコパスであることは秘密にすることができる。億万長者のタレントや政治家が行う家庭派アピールと同じようなものだ。彼らはシェリー酒で手を洗うような生活をしているが、プリウスを買ったことをアピールして好感度を稼ごうとする。

これまでの文脈でゴールドコーストは来るに値しない場所だと言うことを書いてきたが、それは私のような一部のおかしな世界に住む人間にとってだけである。陰湿で、泳ぐことが嫌いで(もっとも、泳げないのだが)、亀をひっくり返して遊ぶようなサイコパスには向かない。普通の暮らしをしていて、海が好きなら来て損はしないはずだ。一生の思い出にだってなるはずだ。
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【オーストラリアハーフラウンド 14日目 素晴らしき哉、ブリスベン】