Vitus Vitesse Evo CRi インプレ

Vitus Vitesse Evo CRi インプレ

2019年9月22日 0 投稿者: Takuya M

ロードバイクには数十年に一度のパラダイムが起こる。記憶にあるかぎりで前回のパラダイムは、フレームの素材がアルミからカーボンに変わったときだ。加工の容易なカーボンに素材が変更されたことで、フレームの剛性や形状の自由度が増し、自転車を走らせる効率が飛躍的に向上した。こういったパラダイムは過去に何度か起こっている。カーボンフレームの登場の前は、WレバーからSTIに切り替わったとき、完組ホイールの登場などが挙げられる。

そして、現在最もホットな機材トレンドといえばチューブレスと油圧ディスクブレーキだろう。今回は、油圧ディスクブレーキとチューブレスカーボンホイールを標準装備した、Vitus Vitesse EVO CRiを試乗した。

Vitus Vitesseは、フランス初のVitusというブランドが作り出したオールラウンドロードであり、英国のプロコンチネンタルチームが使用しているフレームと同じものを使用している。フランス的な発音は知らないが、英国的な発音ならヴァイタスと呼べばいいだろう。主な販売店は海外通販のWiggleである。注文すれば1週間少しで届くのも非常に便利で良い。

まずはパッケージの優秀さについて語るべきだ。今日のフラッグシップフレームといえば、完成車で60万~70万以上は下らないのが常識だ。ケーブル類をすべて露出しないように内蔵するインテグレーテッドシステムを持ったバイクでは100万円はする。しかしながら、私が購入したVitus VitesseはフラグシップフレームにアルテグラDi2メカ、ディスクブレーキ、ミドルグレードカーボンホイールを付けても40万でお釣りがくるパッケージングだ。

車体重量は8.0kgと軽いとは言い難いが、1700g程度あるホイールを装着していることを考えれば十分な軽さだろう。ホイールとコックピット周りを交換すれば7kg代前半は容易に届くだろう。

バイクの感触は非常に良い。40万以下のバイクとは思えない剛性感があり、1000W超の出力でペダルを踏んでもぐんぐん加速していく。加速性が非常によく、登攀や登り勾配のスプリント、コーナー直後の加速勝負では無類の強さを見せるだろう。ただ、ホイールベースの短さか剛性配分に起因すると思われるが、ダウンヒルでの安定性と、60km/hを超えるようなスプリントでは少々分が悪いと思われる。

フレームが軽いことと、ディスクブレーキにより重心が下に下がっていることによりバイクは非常に振りやすい。バイク重量は8.0kgもあるものの、体感的には7.5kg程度のバイクを振っているような感覚でダンシングが可能だ。ただ、やはりキャリパーブレーキモデルよりも重いことは確かなので、勢いで登り切ることができない長い上りではキャリパーブレーキモデルに軍配があがる。

次はディスクブレーキとカーボンチューブレスホイールの優秀さについて語ることにしよう。実は数年前に、まだ黎明期であったロードチューブレスを試そうとチューブレス対応ホイールとタイヤを購入したことがある。当時のチューブレスタイヤと言えば重量はMTBタイヤ並みに重く、ビードを上げるにはドウェイン・ジョンソン並の握力が必要とされていた。あまりの不便さに当時は、ロードにチューブレスをインストールするやつは馬鹿だと考えていた。

しかし、今回完成社に付属していたシュワルベ プロワン チューブレスレディタイヤを装着してダウンヒルとこなしてみると、それは間違っていることに気づいた。ペダルとハンドルを通して体に伝わるグリップ感はリニアな感覚で、クリンチャーのように突然グリップが抜ける感覚がないので安心してバイクを傾けられる。段差を乗り越えた感覚も、クリンチャーやチューブラーと比較にならないくらい柔らかい。ビードを外れないようにする機構のため、リム重量が重くなってしまうのが難点だ。軽量性を求めるならば、まだチューブラーは最もいい選択肢の一つだ。とはいえ、システム全体の重量はクリンチャーとそれほど変わらない。

チューブレスタイヤとディスクブレーキの組み合わせは神の創造物と言わざるを得ないコンビネーションを魅せる。70km/hを超える速度でブレーキングしても握力をそれほど必要とせず減速できるし、しっかり減速できるため、余裕をもってコーナーに突入できる。同じバイクでキャリパーブレーキの私と、ディスクブレーキモデルで15分ほどのダウンヒルとしたとしたら、下りだけで20秒は稼ぐ自信がある。

特質すべきはバッドコンディションでのブレーキングだ。キャリパーブレーキでは、ウェット時とドライ時の制動力とブレーキフィーリングが大きく異なるが、ディスクではその差が驚くほどに小さい。次にバイクを買う機会があるとして、キャリパーブレーキを選ぶかどうかと問われれば、間違いなくNOと答える。

今までは、ディスクブレーキを使うライダーは馬鹿だったが、それはこれまでの話。今では、ディスクブレーキを使わないほうが馬鹿だ。