【サロベツ100マイルロードレース2019 S-3】1日目 タイムトライアル レースレポート エアロであるとはどのようなことなのか【リザルト:2位】

【サロベツ100マイルロードレース2019 S-3】1日目 タイムトライアル レースレポート エアロであるとはどのようなことなのか【リザルト:2位】

2019年7月22日 0 投稿者: Takuya M

コウモリであるとはどのようなことか – wikipedia

どうも、VOLTA RACING FACTORY マツハシです。

2019年7月20、21日開催のサロベツ100マイルロードレースにS-3クラスで参加してきました。参加するにあたっての準備、レースの体験記、終えた段階での感想等を書きます。

個人的な指針としては、あまりパワーの絶対値が大きいタイプではないので、以下に無駄をなくしてレースで効率よく走るか、というところを重視しています。レースを始めたての方や、伸び悩んでいるミドルクラスライダー向けのレポートとなっております。エリートの速い選手からすれば、「こんなの当たり前じゃん!」といったコメントが出そうですが、割とそういうことを纏めた文章って見つからないんですよね。参考になれば幸いです。

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・ログ

パワーデータはStravaを参照してください。

パワーデータ Strava

ちなみに、出走時点での体重は61.5kgでした。

・準備

(1)コース確認編

約2.3kmの短いコースに、スタート直後に600m程度の緩やかな坂が待ち受け、その後はフィニッシュまで下り基調の平坦といったレイアウトです。こちらも詳しくはStravaで。

昨年までのリザルトを見ると、(もちろん風の影響によりタイムは大きく変わるものの)エリートの最速タイムで3分切り、S-3クラスだと3分20秒を切れば表彰台入り、あわよくば優勝といったリザルトでした。

コース偵察で感じたポイントは以下のとおり。

・登り4割、平坦6割の感覚。適度に軽量で、適度にエアロな装備が必要。
・登りでは(私の場合は)ダンシングが必要。
・ジワジワパワーを上げるよりも、上りに入る直前で加速しておくと結果的にタイムが縮む。
・ジワジワパワーを出すよりも、登りの頂点で加速したほうが結果的にタイムが縮む。

(2)機材準備編

私はTTバイクを持っていないので、今回はノーマルのロードフレームで参加しました。使用バイクはコラテック R.T.Carbon。

昨今のチームスカイが掲げているモットー”marginal gains(僅かな進歩)”によると、僅かな改善点の積み重ねにより埋めがたい差が生まれるという考えであり、戦略や他のライダーに依る外的要因を受けにくいTTではよりこの僅かな進歩が重要になってくると考えています。たとえば、あるパーツをエアロにすることにより0.5秒ゲインしたとして、それをくまなく全体に適用すると数秒という埋めがたい差になっているはずです。

さて、短いTTコースで真っ先に考えるべきは、TTバーを付けるか付けないか。付けた場合のメリットとデメリットは、私が真っ先に思いつく要素では以下のとおりでしょうか。付けなかった場合のメリット・デメリットと対になっています。

TTバーを付けた場合
・メリット:空気抵抗が少ない。
・デメリット:重量増になる。ノーマルロードと異なる筋肉を使うことになる(これはメリットでもある?)。

速度域が高く(体感的には35km/h以上あたり)、空気抵抗を受けやすいコースならばTTバーを付けたメリットにより受ける恩恵が大きくなり、登りで速度域が低いコースならばTTバーを付けたデメリットのほうが大きくなります。

サロベツのコースを試走した感想からすると、登りで最も速度が下がる箇所で出る速度が、26km/h程度。この速度域が続くようならTTバーは必要ありませんが、その登りを終えてからの50km/hを超えるような下り基調平坦区間が1.3kmほどとコースの多くを占め、TTバー装着に依るメリットが大きくなります。したがって、個人的な意見としてはTTバーは必須です。

次にホイールについて。試走をする前までは、多少重くとも平地での速度維持が容易な88mmハイトのホイールで出走する予定でしたが、当日が著しい追い風であった(空気抵抗低減のメリットが薄まる)のと、序盤の登りでの速度維持が重要になってくる(当然ローハイトホイールのほうが軽いので登りではローハイトがベター)と感じたので、急遽軽量な38mmハイトのホイールに変えて出走することにしました。

(3)ポジション

TTバーを付けると、ノーマルのロードに乗っているときと異なる筋肉を使うことになるので、出せるパワーが少し変わり、そのため通常時と出せるパワーの値が変わってきます。私は、室内トレーナーでポジションを変えながら、パワーが著しく低くならず、前面投影面積が小さくなるポジションを探りました。我々アマチュアはトッププロのようにサイエンティフィックな検証を行えないので、この程度の試行錯誤しかできません。

TTでは、サドルの先端に座って大出力を維持するため、サドルの位置もノーマルロードから変える必要があります。一般的には、TTはロードの比べて高く、前出しします。私もロードのときよりも1cmほどサドル高を上げ、数ミリサドルを前出ししました。これにより、胴体が水平に近づくので空力が改善されます。また、ポジションをいじる際に無視したくないのは、体幹に力がはいるポジションを探ることです。大出力を維持したい場合は大きい筋肉(体幹)の筋肉を利用したほうが長持ちする(経験則的に)ので、いかに空力が良さそうでも体幹に力が入らないポジションはとらないようにしてサドル高を決定しました。

(4)エアロへの道

TTでは、エアロが全てではありませんが、エアロは概ね全てです。エアロにするためのワンポイント集を紹介します。バカバカしいかもしれませんが、これの積み重ねが馬鹿にできない差を生みます。

TTバーの先端にはホームセンターで売っているやすりテープを。手が全く滑らないので身体に力が入ります。エアロポジションを維持するためのワンポイント。

ウェアやヘルメットも手持ちのもので最も空力が良いと思われるものを着ました。ウェアはロードでも大活躍するWaveone社製デュアルスーツ。1着2万ちょっととは思えないエアロさと快適さです。

ヘルメットはOGKのR-1バイザー付き。ロードでもTTでも使えるコスパの良い一品。TT専用のヘルメットは超高いですし、ロードで使えませんからね…

バイザーの有無については、無い方が空力に優れるとの報告もありますが、写真写りの良さを優先しました。

グローブも着用しました。素手-エアロバーよりも、素手-グローブ-エアロバーで接触したほうが滑りが少ないためです。こちらもエアロなOGKのグローブを使用。ロードでも大活躍です。

普段はすね毛のみですが、今回は腕毛も剃りました。腕はともかく、足の毛を剃らないのは論外ですよ!毛とタイムの関係性は下記のブログを読んで貰えれば参考になるかと思います。

タイムトライアルのタイム削減にはどこに投資すべきか

結果。まあまあエアロではないでしょうか。もっと頭を下げたほうがいいですね。あと、バイザーがブラックミラーカラーのほうが写真写りがよさそうです。

5月に鎖骨を骨折してから肩周りの柔軟性が著しく落ちているので、肩幅は広めな印象です…。これは空力的にヨクナイ…

エアロオーバーソックスも導入してほうが良いのはわかっているのですが、アレはすぐのびのびになってエアロじゃなくなってしまうのと、本当にエアロなオーバーソックスはまあまあ値段が張るので今回は使いませんでした。アマチュアは懐事情も考慮に入れなければならないのです。

(5)食事編

TTの基本はたべすぎないことです。長距離のロードでは「えっ、こんなに食べるの?」ってくらい朝食でカロリーを取ったりしますが、比較的短時間で済むTTでは要求されるエネルギー量がそれほど大きくないので、あまりたべません。私が朝食でたべたのは、プロシュットとチーズのサンド、フルーツ(主にバナナ)、おにぎりです。

強度が一気に上るTTでは、あまり朝食を沢山食べすぎるとTT後に朝食と再会することになりますからね。

もちろん、出走前には十分な水分補給を行い、エナジー系のジェルを摂りました。

・レース本番

出走は、14:00からで1選手ずつ30秒間隔スタート。13時前ほどからアップを開始して、1時間ほど汗を流して筋肉と心臓に刺激を入れました。一気に限界の強度まで挙げなければいけないTTではアップをしないことは死を示します。アップの際は集中力を高めるためにYESの曲を無限リピートしています(ちなみにYESはリック・ウェイクマンが居た頃が最高。痺れるキーボード。)。人と話してリラックスするタイプの選手もいれば、自分の世界に入って集中したい選手も居ます。私は後者です。

選手の数が多いので、場合によっては1時間ほど待たされます。スタート地点近くはテントもなにもないので、直射日光の下で待っていました。これは水分がないとツラい。

私の出走は14:45(30秒?覚えていないです)でした。スタートする際は、フロントはもちろん53のアウターギア、リアはミドルあたりの15tにギアをかけてスタートしました。ギアの選択を間違うと、加速がもたついたり、速度を維持できなかったりするので試走の段階で入念にチェックしていました。

スタートして直後は700W程を出して40km/hまで加速。追い風もあって登りは勢いでこなせると思っていたので、登りに入るまでの加速がキーであると感じていました。上りに入って32km/hを下回ってからはダンシングで速度維持。26km/hまで下がるものの、踏ん張る。

登りの終わる地点でのタイムが1:10秒台。「このペースを維持すれば3分一桁代前半行けそう!」と思いましたが、直後の短い平坦と下りでパワーがすこし下がる。下り基調になる直前で、速度を上げるためにもう一度腰を上げて加速。

ツラい!

その後の1分感は空力のいいポジションを維持できるように意識しながらフルガスでフィニッシュ。ちなみに、TTで最後にスプリントできるようではペーシングは完全に失敗です。フィニッシュ地点でエネルギーのタンクがちょうどゼロになるようなペースコントロールが最高のペースコントロールです。

・感想

タイムは3分12秒と個人的には悪くないタイムでしたが、元道選抜のチーム輪駄・吉村選手が3分8秒という好タイムを叩き出して私は2位という結果に落ち着きました。

ペーシングでのミスはありましたが、それを直すことに寄って4秒はゲインできないと思うので、単純な力負けです。いい走りをした吉村選手、優勝おめでとうございます。

他のライダーの結果を見ていると、3分30秒くらいのライダーが多く、3分20秒を切ってくるとまずまずと言えそうな感じです。これは去年までのリザルトと同じですね。また、上位入賞している選手の殆どがTTバーを装着している印象でした(たまにゴリラ系パワーで無理やり入賞している方も居ますが…)。「TTバーは必須」という私の判断は概ね正しかったようです。

ちなみに、軒並みゴリラがリーダーボードを占めている区間で8位になりました。今年結構走れてる?