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【オーストラリアハーフラウンド 42日目 アデレード初日 徒歩観光】
アデレードは小ぢんまりとした小さな町なので、街中の観光に限って言えばそれ程観光に時間を要するわけではない。もちろん、レンタカーや自転車を使って足を伸ばせばワイナリーや手つかずの大自然など魅力的な観光地はいくらでもある。しかしながら、レンタカー代を割る友達も、パーツの殆どがカーボンでできたロードバイクもないので、今回は行動範囲を街中に絞って行動した。主要観光地の紹介は昨日分で終えたので、今日は泊まったホステルの紹介をしよう。

アデレードで数日滞在する間、テキーラサンライズホステルという安宿に泊まった。一泊20ドル(1600円程度)で、週4回の夕食と毎日パンケーキの朝食付き、さらにはタオル付きの破格だ。朝食にシリアルやトーストが出されるホステルは多く存在するが、毎朝おいしいパンケーキが食べられる宿はなかなかに少ない。私はここの宿のパンケーキとヌテラのせいで少し太ってしまった。

カウンターでチェックインを済ませ部屋に入ると、ロッカーの扉に貼られたシュールレアリスムを体現するカンガルーが出迎えてくれる。
夕食時には、大日本帝国が行なっていた配給のごとく長蛇の列が形成される。ブータン出身のスタッフ、ミス・チキが作ってくれる夕食は格別だ。曜日によってフライドライス、カレー、バーベキューなどがサーブされる。私の好みはやはりカレーだ。

wi-fiは完備されているが、電波の速度がジェームズ・メイの運転する車より遅いので、自前のsimでインターネットに接続した方が良い。もし、宿の回線で1時間ドラマを見たいのなら寿命が600年ほど必要だ。1シーズンを見終えたければあと3000年ほどは生きなければならない。
天気も良くなかったので外へ出ず、ホステルの中でだらだらとしていると、スマホのスピーカーから発せられる日本語が聞こえてきた。なんらかのアニメを見ているようだ。久々の日本語じゃないか。
そのアニメを見ていた日本人と話してみると、彼(名前をアキという。2019年2月現在はオーストラリア南部で働いているようだ。)はワーキングホリデービザでオーストラリアに滞在しているそうだ。しかも19歳。若い!
さらに深く話してみると、なんだか話し方が理屈っぽい。占いを信じているあたり、サイエンスという宗教にどハマりしている私と宗派の違いこそあれど、面白い話をたくさん聞かせてくれた。
私は定義に忠実な会話が大好きなソシオパスなので、よく人の神経を逆撫でしてしまうが、ミスターアキはよく耐えて私のくだらない会話に付き合ってくれた。それも何時間も。実のところ、ワーキングホリデービザやオーストラリアでの仕事に関する知識が殆どなかったので、彼から聞く話は新鮮だった。そして、この旅が終わってしばらくしたらワーキングホリデーをしてみようかな、という気持ちさえも芽生えさせてくれた。
くだらない会話で時間を潰した翌日は、髪の毛の長さが気になっていたので散髪屋を探しに街に出た。旅の途中でオシャレ偏差値が40程度まで落ちているので、とりあえず安く丸坊主にしてくれる店を探してアデレードの街を彷徨った。なんと、10ドル(800円)で頭を借り上げてくれる散髪屋をグーグルで見つけたので、そこで頭を軽くしてもらうことにした。まあ、もともと私の頭は脳みそが少ない分軽いのだが。
散髪を終え、宿に戻ってくるとやはりアキ氏とくだらない議論(パブの中でする議論と同程度の話だ)を交わした。
会話の中で、私がアデレード市内で借りることのできる無料レンタサイクルを使ってサイクリングをしないかとアキ氏に提案した。翌日の予報は晴れだったし、そろそろペダルを回したい欲が限界に達していたためだ。
アキ氏は快諾してくれた。私は明日に備えて早めに眠ることにした。