上手に写真を撮るのは難しい。上手な写真を撮ることは美味しい料理を作ることと同じくらいに難しい。私は料理が好きなので、よく家で料理をするのだが、十分な材料と調味料を準備してから何かを作るとそこそこ美味しい料理を作れるが、冷蔵庫にある余りものから何か美味しいものを作ろうと工夫すると、料理というよりはゴミ袋の中身に近いものが出来上がってしまう。したがって私はパエリアを作るスペイン人や、美味しいお好み焼きを作る祖母を尊敬している。彼らはどちらもそのままにしておくと生ゴミになるであろうものから美味しい料理を作る。私にはそんなことはできない。
写真にも同じことが言える。私は圧倒的な景色が見られる場所に行って、そこそこの写真を撮ってインスタグラムにアップしている。一流食材も私の手にかかってしまえば、ガソリンスタンドで売っているフィッシュ&チップス程度の味になってしまうのだが、それでも不味くはならない。ところが、なんでもない景色や被写体をうまく撮ろうと思っても、綺麗に見せたりカッコよく見せたりすることは出来ない。私が絵の具と画布を渡されても、ターナーの『戦艦テレメール』は描けない。
しかしながら、私の友人の中には生ゴミから美味しいパエリアを作ることが出来る人もいる。本当に羨ましい限りだ。先日その友人とともにスキーに行ったのだが、お世辞にも上手とは言えない私の滑りをカッコよく撮ってくれた。これは冷蔵庫の残り物で作られた美味いパイだ。

